映画祭で「ラーヴァン」
かな~り今さらな話題ですが、今年の東京国際映画祭でインドの作品は「ラーヴァン रावण」が上映されるんですね。

ここ数年ずっとヒンディー語映画の最新作をやってくれるようになったのは嬉しいですな。やはりDVDでばかり見てるところに、たまに映画館の音響(自分としては大画面よりこっちが重要)で鑑賞すると新鮮な感動がありますし。でも見に行くかどうかわかりませんが。

・・・で、映画祭ウェブサイトの作品紹介ページもさきほど見てみたのですが、あらすじが日本語的にちょっと???わかるようなわからないような、何か変な翻訳調だとおもったら、おそらく製作会社側がよこした英語のシノプシスのほうをもとに映画祭側が訳したんでしょうね。もともと英語のほうが映画の本筋を知らないと少し理解しずらそうな文章になってるし、けっこう苦心して訳したんだろうとは思われますが。



あらすじ
デーウはクラシックダンサーと結婚し、ラル・マーティで①新しい仕事に就く。その町の法則は、警察ではなく、長年に渡り町の②人々を支配することで権力を均衡に保ってきた③部族・ビーラーによるものだった。いかなる場所でも秩序をもたらすためには、大きな魚――この場合はビーラーだが――を打ち負かさなければならないと、デーウは思案している。なんとか一撃で、ビーラーの組織を引き裂くことに成功した④デーウは、生きる権利を主張する。しかし傷を負ったビーラーは激怒し、反撃を開始する。⑤善と悪の境界線は、どちらの側につくかという選択によって、曖昧なものとなってしまうのか?

Synopsis
Dev marries a classical dancer and ①takes new post in Lal Maati, a town where word of law is not the police but ③Beera, a tribe who has, over the years, ②shifted power equation of the place from ruling to the have-nots of the area. Dev knows that the key to bringing order to any place is to vanquish the big fish: in this case―Beera. In one stroke Dev manages to rip open Beera's world, and ④set chain of events which will claim lives. Beera, injures but enrages, hits back starting a battle. But when the lines dividing good and evil are blurring fast whose side will you take?

※映画祭ウェブサイトより (下線&番号はブログ筆者)

①元の英語からするとそう取れる書き方だけど、この場合は警察の異動だから「部署」とかのほうが内容的に照らしてより正確?

②直訳したら「権力の均衡を支配層側から持たざる者の側のほうへと動かして」、つまり、貧しい民衆に優勢な状況へと街の権力闘争図を塗り替えてしまった、ということですか。ただ、元の英語のが前提かなり省略なので、日本語訳のほうはあれでまぁしょうがないのかな、やや原文から文意が外れてる気がするけど。

③ビーラーは登場人物の名前ですよね、部族名でなく?これは元の英語が「a tribe」になってるのがそもそも誤りでは。「tribesman」や「tribe member」とかじゃないの?インド英語ないしは在地言語(「आदिवासी」とか)での語法の影響?

④これは意味不明なので何か適当に訳した感じが・・・。これまた直訳で「(いろいろな登場人物の)命を奪うことになる一連の出来事を仕掛け」なので、主述関係を見ただけでも明らかに誤訳ですよね。

⑤この最後の一文が日本語としても意味不明過ぎたのが今回の発端です。直訳でも「善と悪の境界がどんどん曖昧になっていくなかで、あなたはどちらの側につきますか?」なので、一見こなれた訳なようで実はちょっと誤訳なのでは?監督がおそらく意図したであろう、善悪二元論的な物語の転覆による支配的価値観の相対化、対抗的・補完的な視点の提示などの目標からすると、明らかにおかしい。「選択」が「曖昧」の原因ではないし、問いかけのポイントも原文の主意から完全に外れている。

あと、なぜか英語版ページのほうで映画原題が、本来タミル語版のほうの「Raavanan」となっているのが???しかも、日本語版のほうは両方併記してあるけれど、今回の上映されるのはヒンディー語版であるはずなのに、これまたなぜ???


・・・以上、不毛な粗探しでした。

この他にもちょっと見たいなと思う(だけで行かない予感大)のが、イランからの二作品ですか。

フラミンゴ No.13 」(「فلامینگو شماره ۱۳ 」→ 「ふらーみーんぐー・しょまーれ・すぃーずだ」でいいのかな?)は、コンペ部門ですか。何かキャプション写真とやや不条理なタイトルがあの有名監督を思わせると思いきや弟子なんですね。でも初監督作でコンペ部門候補に選ばれるのもすごいですが、やっぱり日本人の映画祭&イラン映画ファンの好みにあった方向性なのもあるんでしょうか。

ドッグ・スウェット」(「عرق سگی」 → 「あらげ・さぎー」かな?)のほうは、上の叙情派芸術映画的方向性と異なり、現代リアリズム的若者群像劇のようですな。こないだまで渋谷で上映されてた「ペルシャ猫を誰も知らない」と同じようなような方向性か(行きそびれて見てないのに決めつけるのもアレだけど)。

どちらも無難な選択ではある感じだけど、もっと(日本をはじめイラン国外での)イラン映画のステレオタイプ的イメージを覆すような映画を上映してくれんもんですかね。政府検閲との水面下の攻防戦くぐりぬけたギリギリの表現の笑いをちりばめた社会派コメディー作品とか。あと蛇足ですが、どっちもHDCAMで撮影しているんですね、フィルムじゃなく。制作予算上の都合からなのか、技術的な好みの問題からなのかちょっと気になるところですが。
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by ek-japani | 2010-09-28 00:24 | 映画


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