日清カップヌードルのCM
最近話題になっていた日清食品『CUPNOODLE』の新しいCMを、昨日やっとTVで実際に見ることができた。

昨年より“No Border”をテーマにシリーズで制作されているが、今月15日からは第6作「笑顔編」という事で、イラン(正式にはイラン・イスラーム共和国:جمهوری اسلامی ایران)国内に在住のアフガン افغان 難民の子供たちの笑顔が多数クローズアップされている。
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CM自体は子供たちの無垢な笑顔と綺麗な映像で文句のつけようが無いのだが、気になるのがCMの終わり間際で画面左下に小さく表示される 「日本で発売されている商品はハラール食品ではありません」 という注意書きである。

果たしてこれは誰に向けてアナウンスされているモノなのか、という疑問が湧いてくる。

もちろん教義上ハラール حلال かそうでないのか識別しなくてはいけないムスリム مسلم の人々に向けたものであるのは明らかである。
問題はどんな「ムスリム」に対してなのか、という事だ。

特にCMで表示される注意書きが日本語だけ、というのが大きな問題である。
日本人ムスリムの人口は非ムスリムからの改宗者(ムスリムとの結婚を機に、当人の選択によって、など)、ムスリム家庭での子供の誕生など様々な要因でますます増加しているようである。
しかしそのような人々の大多数には、ハラールかそうでないかを識別するのに比較的容易に情報にアクセスできる環境&能力が備わっていると思う。

それは日本語の能力によるところが大きいだろう。
例えば店頭で識別できなければ、その食品を製造している会社に電話やメールで問い合わせるということも可能である。(もちろん情報を提供すべき側の方で、「企業秘密」の面目で食品の原料成分を情報開示しないというケースもよく耳にするが。)

それでも日本人ムスリムの人々にとってはまだまだ苦労は多いのだろうけど、現在の日本においておそらくムスリムの多数派であろう外国人ムスリム(ここでは日本国籍取得に関係なく日本語運用能力の面から話を進める)にとってはもう少し苦労が上乗せされるのだろう。
「外国人ムスリム」といっても日本語の能力は滞在期間や日本に来た背景(出稼ぎや留学など)で千差万別であろうが、たとえ会話能力なら問題ない人物でも食品の成分表示を読むとなると日本人なら簡単に判りそうなモノも迷うことが多いかもしれない。

そんな「外国人ムスリム」の人々があのCMを見て、舞台がイランでアフガン難民の子供たちが映っているという事から宣伝している商品もハラールだと誤解する可能性がある、という認識で例の注意書きは加えられたのだと思う。
インドネシアではハラール食品の条件に適うカップヌードルを販売しているらしいので、日本で販売しているカップラーメンもハラールだと誤解してしまう事も十分ありえるかもしれない。

それなら尚更情報を受け取る側への配慮が欠けていると思う。CM制作側にとってコストの問題とか何らかの都合があって多言語表示が難しいせよ、最低限英語で併記くらいしてあってもよさそうな感じである。
“These products sold in Japan are NOT HALAL
とか

※ついでにヒンディー&ウルドゥーでも
“ ये जापान में विक्रीत उत्पादन हलाल नहीं हैं ”

“ یہ جاپان میں فروشی مصنوعات حلال نہیں ہیں ”


なんて事を少し考えてたら会社ではなく商品ブランド自体のHPにおいて、ペルシア語でも併記された以下の注意書きの画像を発見。
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“مواد غذایی که در ژاپن به فروش می رسند حلال نیستند”

(カタカナ書きすると;マヴァーッデ・ガザーイー・ケ・ダル・ジャーポン・ベ・フォルーシュ・ミー・ラサンド・ハラール・ニースタンド)

でも他の部分は全て日本語で表記されているサイトの、しかもわざわざCM制作ノートのとこを開いてからさらに企画意図の5ページ目に表示されて、果たしてこの注意書きを必要とする人に届くのだろうか・・・。(個人的には発見して興味深かったけど。)

それにペルシア語なのは舞台がイラン国内だった事に関連するのだろうけど、日本における「外国人ムスリム」に対しての注意書きとしては不十分な気がする。アラビア語とか、日本に在留・居住している話者が比較的多いインドネシア語やベンガル語、ウルドゥー語とかでも注意書きを画像ファイル形式で用意しておけばもっと良いと思う。


な~んて良心的な意見を述べてみたが、ただ自分が多言語併記マニアなだけだったりするので・・・。ひそかに日本で普通に製造・販売した食品に、いつかハラール・マークが何でも付く日を期待、宗教的な面でムスリムの生活が容易な社会になるようにとかの主張とは別の動機で。
(最近駅とかで見かけるハングル&簡体字の案内や、銭湯でたまに壁に貼ってある入浴の際の禁止事項のペルシア語&ウルドゥー語とか、もう~たまりません。)

実はこのブログも単に自分の好みで多言語表記なだけで、別に学術的なこだわりとかは全然無い・・・。
(あ、ちなみにアルファベットで表記する言語にはあまり反応しないので、正確には「多言語」というより「多文字」併記マニアですな・・・。)
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by ek-japani | 2005-06-30 09:38 | 考察


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