サーニヤー・ミルザーの鼻ピアス
先週の夕刊にサーニヤー・ミルザー सानिया मिर्ज़ा ثانیہ مرزا のこんな記事が・・・。

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  “女子テニス界にインドの「新星」”
東京新聞:2005年10月14日(金)の夕刊、3面スポーツ欄より
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サーニヤーがテニスの世界に足を踏み入れたきっかけから、WTAツアーで現在のランキング大躍進(10月10日現在で31位)の活躍までの経歴と、彼女のプレースタイルの持ち味について簡単に紹介している。
インドマニアの人々の間だけでなく、今回のジャパン・オープンでのベスト4に残る活躍によって、一般のテニスファンなどにも認知されてきたようだ。もう日本の新聞に載ったのだったら、これからさらに日本でも有名になるだろうと思う。


・・・で、今回の紹介した記事自体はサーニヤーを紹介してくれて嬉しいのだけれど、ちょっと気になったのが最後の方に書いてあるこの一文。
イスラム教徒ではあるが、左の鼻の穴にピアスをするなど自己主張は強烈。
なんで気になるのかというと、この記事を書いた人(おそらく配信元の共同通信社の記者さん)の個人的な先入観(というか日本国内で一般的な認識?)のようなものが、この一文において突然前面に出てきた印象を受けたからである。


具体的には、「イスラム教徒」と「自己主張」、そして「鼻の穴にピアス」と「自己主張」、これらの関わりについて。

まず前者について。
「イスラム教徒」の後には、「ではあるが」と続いている。またここでの「自己主張」は前に「ピアスをするなど」が並列されてるので、服装などにおける外面的な「自己主張」であると考えられる。
つまりこの記事の書き手が読者の間で理解されるだろうと想定している文脈においては、「イスラム教徒」は一般的に「自己主張」(=着飾ること)と結びつき難いものである、という事が読み取れる。この場合は特にサーニヤーが女性なので、・・・“頭からつま先まで黒い布でスッポリ覆われてるような”(ってのは既に少し古い極端なイメージかもしれないけど)イスラム教徒の女性は一般的に教義にかなった服装を強制され、ファッションの自由とそれによる「自己主張」の権利があまり無い・・・、みたいなイメージが前提として存在している感じがした(というのは読み違い?自分が気にし過ぎなのだろうか?)。

次に後者について。
「ピアスをするなど」と書かれていて、特にピアスが書き手にとっては「自己主張」(上記の通り、ほぼ=ファッション)であり、またその「自己主張」(=ファッション)が「イスラム教徒」(の女性、これも上記の通り)にしては「強烈」であるとして印象に残ったようだ。
ピアスが「強烈」な「自己主張」として捉えられるのは、ピアッシングの習慣が近年まで(おそらく)無かった日本での一般的な認識としてはわかる気がする。しかしインド(の全土や全てのコミュ二ティーの慣習に当てはまるわけではないだろうけど)では鼻にピアスをしている女性は老いも若きもそんなに珍しく無い気がするけど・・・。
サーニヤーの鼻ピアスが慣習的な身だしなみとして着けてるのか、はたまた単にかわいいと思うから個人的に着けたくて着けてるのか、これについては判らない(まぁその両方ってのが一番ありえるけど)。
少なくとも、身に着ける本人が「自己主張」のため個人的な嗜好に基づいて身に着ける事を選ぶ、という現代的なファッションの文脈だけで考えるのは誤解につながると思う。
(伝統的には女性の装飾品は持ち歩く財産だったり魔除けだったり、所属する社会集団を明示するものだったりという側面もあるので。)

・・・と理屈っぽく長々と書く話題でもないので、もうやめとこうかと。


c0072728_1482456.jpgたしかにハイダラーバードのムスリム家庭出身のサーニヤーに対して、一部のイスラーム法学者からは、プレー中の服装何とかせんかい!脚とか腕とか肌を晒すのはやめんかい!みたいな半分無茶苦茶なファトワー فتوى/فتوا が出された事もあるようだけど、鼻のピアスが問題になったという話は聞かない。

このまえ『India Today』でサーニヤー特集の記事を読んだ時も、あくまで鼻ピアスは彼女のトレードマーク的に目立つものではあるが、それ以上でもそれ以下でも無いような扱いだった。
むしろ「自己主張」として取り上げられていたのは、試合後の記者会見の場でよく着て現れる、胸にメッセージが書かれたT‐シャツだった。(オマケとして下に加えときます。)

とにかく「自己主張」(=ファッション)も、ところ変われば・・・みたいな感じで、そう認識されるモノもそれが置かれる文脈も変わってくるんですなぁ、と思った。

・・・ところで苗字のミルザーって、もとはイランやムガル朝での王子や貴族とかの称号らしいけど、最近アルバイトで扱っているペルシア語書籍に出てくる人名では“ミールザー میرزا ”なのだけど・・・?
ハイバル峠 ख़ैबर दर्रा درہ خیبر を越えたら少し音が変わってしまったのかな??


※おまけ・・・、初期の軽度Sania Mania 向け情報
(『इंडिया टुडे』;9月21日号の特集記事“नए सितारे की सनसनी”より)

○基本データ
・身長: 5 feet 7.5 inch (1m53cm)
・体重: 59kg

・お気に入りの選手: シュテフィー・グラフ Steffi Graf
・お気に入りの車: ホンダ・シティー
・携帯の機種: Sony Ericsson P910
・お気に入りの映画スター: アビシェーク・バッチャン अभिषेक बच्चन
・お気に入りの音楽: Hip-Hop、EMIN∃M

(身長の割りにはがっちりとしているのがわかる、フォアハンドやバックハンドが強力なわけだ。しかし記事の中では“体重を落とす&フットワーク強化”が今後の課題の一つとして挙げられていた。携帯と車に関してはスポンサーへのサーヴィス??かと疑いたくなるけど??ホントなんかな・・・。)


○上に書いたT-シャツのメッセージ

“Don't get in my way” (シャラポワと対戦後の記者会見で着用)
“Well-behaved girls don't make history” (ウィンブルドンの記者会見で着用)

※以下はいつ着てたのか不明(記事の写真より)
“I'm Cute? no shit..”
“WHATEVER”
“YOU CAN EITHER AGREE WITH ME OR BE WRONG”


○サーニヤーの広告出演料の相場
現在1.5カロール(1500万)ルピーでラーフル・ドラヴィル राहुल द्रविड़ と並び、スポーツ選手としては第2位になったそうな。
(ちなみに第1位はサチン・テーンドゥルカル सचिन तेंडुलकर のRs.3カロール、やっぱりまだまだ人気は健在なのね。)


※その他サーニヤー情報

○『TIME』 アジア版;2005年10月10日号の特集記事
  “Asia’s Heroes 2005”(サーニヤーも選ばれた)より

サーニヤー・ミルザーの公式サイト
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by ek-japani | 2005-10-20 02:02 | ニュースより


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