アムール・モペット
最近あるインド人のブログで見かけたのが、こんなの・・・。

c0072728_2342970.jpgインドの“Amul”という乳製品&製菓会社(日本の森永とか明治みたいなもんかな・・・??)の名前は、なんとなくアイスクリーム・パーラーとかで知ってた。
でも街頭広告(バター)でこんなおもしろいのを、しかも1966年から着々と続けていたとは全く知らなかった・・・。

c0072728_23423996.jpg※知らない人のためにも、ちなみに上の絵の元ネタはこんなやつ。

2004年公開のヒンディー語映画『Swades स्वदेस 』のタイトルとSwad Dish(「スワード स्वाद 」= 「味」、「ディッシュ」=英語の「皿・料理」)がかけてある。
会社名の下に書いてある“Eaten by we the people”(我々インド人により食されている)の「we, the people」部分も映画のサブタイトルより。


他にも映画パロディーネタでおもろしろいのがいくつか・・・。

c0072728_23433888.jpg
fizz Hai - In search of her butter

c0072728_2344483.jpg元ネタ:2000年公開の映画『Fiza ‐ In search of her brother』、ムンバイーでコミュナル暴動が起きた際に、ある事件がきっかけで行方不明になった弟を探すムスリム女性の話。

※映画タイトル兼主人公の女性の名前「フィザー फ़िज़ा فضا」と同じような綴りの英単語を(かな~り無理やり?)かけている。Fizz=英語の「炭酸・活気」とかの?、Hai है =「である」 。

→ ★☆☆ :なんでバターを探す? でも不覚にも笑ってしまった。


c0072728_23444167.jpg
Amul LAGAANA - Upon every slice in India
(“アムールのバターを塗れ - 全てのインドのパン切れに”)

c0072728_23455994.jpg
c0072728_2345211.jpg元ネタ:2001年公開の大ヒット映画『Lagaan - Once upon time in India』、イギリス植民地政府と年貢の3年間免除をめぐって、村人たちがクリケットの試合を戦うという歴史モノ。

※映画タイトルの「ラガーン लगान」(「年貢」)と「ラガーナー लगाना」(動詞「つける」の命令形の1つ)がかけてある。サブタイトルも上手くもじっている。

→ ★★★ :かな~り大爆笑。ちゃんと食パン持ってるし・・・。


c0072728_23462539.jpg
Got COMPANY? - Serve Amul Khathe rehna

c0072728_2346484.gif元ネタ:2002年公開の映画『COMPANY』、ムンバイーのマフィアの内部抗争とその中心となった2人の友情を描いた映画。

※映画の題名兼劇中での主人公たちのマフィアグループの名前が「カンパニー」なのだが、同じ英単語の「会社・結社」という用法と同じく「仲間・つれ合い」という用法をかけて、「(一緒にバター塗って食パン食べる)仲間は得たか?」なんて意味不明なオチ。後ろの“Khathe rehna खाते रहना”( 食べ続けていろ)も、この映画の有名な曲『khallas ख़ल्लास خلاص』の一節“Bachke tu rehna बचके तू रहना ”をもじってる。

→ ★★☆ :う~ん・・・。元の映画のシリアスさをぶち壊す点でおもしろい、のかな?


c0072728_2347796.jpg
BHOOKH - a TOAST story

c0072728_23472657.jpg元ネタ:2003年公開の映画『Bhoot - a GHOST story』、ホラー映画ブームの先駆け。

※映画タイトルの「ブート भूत」(「幽霊」)と「ブーク भूख」(「空腹」)をかけてある。

→ ★★☆ :というか・・・、何でトーストの話なの?やはり何でもありですか・・・。


c0072728_23493675.jpg
MASKA-E-AAZMA

c0072728_23501747.jpg元ネタ:オリジナルが1960年公開の不朽の名作映画『MUGHAL-E-AZAM مغل اعظم』、今年になってカラー化されて再公開された事によって注目をあびた。ムガル朝アクバル اکبر 大帝の一人息子サリーム سلیم 王子と踊り子アナールカリー انار کلی の悲恋の物語。

※映画タイトル「ムガレ・アーザム」(「偉大なるムガル」)と、「マスカーエ・アーズマー مسکۂ آزما」(「お試し?のバター」)がかけてある。

→ ★★★ :何でまたトーストを食べさせる?まさか往年の名シーンがこうなるとは・・・。


c0072728_23505613.jpg
Makhan Aan De - THE SLICING

c0072728_23512612.jpg元ネタ:今夏に公開された話題作『Ballad of Mangal Pandey - THE RISING』、1857年のインド大反乱のきっかけとなった、スィパーヒー सिपाही (セポイ)の乱を起こした東インド会社のインド人兵士の話。

※映画タイトルにある主人公の名「マンガル・パーンデー मंगल पांडे」と「マッカン アーン デー मक्खन आन दे」(バターを???しろ)がかけてある。(アーンの部分が少し意味不明・・・。)

→★★☆ :う~ん、話題になってるモノなら何でもいいのか?とりあえずバターとスライスにこじつけとけば?

まぁこんな話題の映画をパロディーにするだけでなく、その他にも世間が関心を寄せるトピックならなんでも題材に。しかも時には公権力に対してユーモアを交えた批判を、時には暗い世相を憂う声を、時には言葉少なく亡くなった著名人への追悼や災害被災者への同情を、というようにインドの「市井の人々」の声を代弁する役割を果たしてきたというのが長続きしてる大きな理由なのかもしらんね。
もちろん「市井の人々」といっても、多種多様な背景を持ち、個々の政治的な意見は時々によって分かれるだろう。それでも時に厳しい世間の現実を「笑い」に変え、毎日の暮らしを少しでも楽しいものに変えようという試みにおいては、どこかで広く共有される見解があるような気がする。

c0072728_2352583.jpg
Aabaadi ya barbaadi?- Amul One in a billion
(“繁栄か荒廃か? - アムール、10億の内の1人”)

インドの人口が10億人を越えたのを機に。

※ペルシア語起源の「アーバーディー آبادی」という単語は、地名の後ろによくある「~アーバード」(「~の栄える土地」という意味)が名詞になった形で、「繁栄」という意味以外で一般的に「人口」という意味でも使われる。人口の多さ=国の繁栄、と現代では必ずしもならない状況を踏まえて。後ろに似たような音で正反対の意味の「バルバーディー بربادی」と対比させている。


c0072728_23523625.jpg
Makhan chor mange makhan more
 (“バター泥棒がねだった、もっとバターをと”)

ジャナマーシュトミー जन्माष्टमी (ヒンドゥー太陰暦第6月バードーン भादों 月 に行われる、クリシュナ कृष्ण の誕生を祝う祭り)の季節に。

※「マッカン チョール मक्खन चोर」(「バター泥棒」)とは、幼児時代のクリシュナのこと。母親が台所のどこにギー घी を隠しても不思議と必ず見つけ出し、全て嘗め尽くしてしまうという寓話にちなむ。近年の大衆宗教絵画なんかで題材としてよく書かれる。
 それに加えて、おそらくこの時期流行った?ペプシのCMキャッチフレーズ、「イェ ディル マーンゲー モア」(「心が求めた、もっとさらにと」)もかけてある。


c0072728_2352552.jpg
Caste no bar, Class no bar, Amul bar bar - Amul Butter Every Mandal's Choice
(“カーストに境界線無し、階級に境界線無し、アムール何度でも - アムールバターは全ての人々が選んだモノ”)

1992年に様々な議論や騒動を巻き起こしながらも施行された、公職における一定の割合を特定の後進諸階級などに対して優遇する留保措置に関して。その措置を実施するうえで元になった、1980年に出されたマンダル मंडल 委員会(通称;正式には第二次後進諸階級委員会)報告から、マンダル事件の名で呼ばれるようになった。

※この保護政策の実施においてまず1つ大きな論点が、どこまでを留保枠に含めるのか?という境界を設定する基準だった事と、その留保措置がかえってインド社会をカーストや階級といった区分で分断する結果につながるという批判を踏まえて。「バー」(英語の「棒・障害」とか)と「バール बार」(「~回、~度」)をかけている。


c0072728_23531565.jpg
Naaraaz Sharif! - Arresting taste
 (“お怒りシャリーフ! - 捕らえて離さない味”)

1999年にパーキスターンで起きた政変クーデターについて。当時の首相ナワーズ・シャリーフ نواز شریف がパルヴェーズ・ムシャッラフ پرویز مشرف 参謀総長(現・大統領)を解任したことをきっかけに起きた。

※解任された首相の名前と、その心境「ナーラーズ ناراض」(「不満な、怒っている」)をかけてある。加えて解任後に身柄を拘束された事と「アレスティング」(英語の「人の注意を引くような」)をかけてある。


c0072728_23544338.gif
Arms janta ka favourite! - No sanctions needed
 (“兵器は一般市民のお気に入り - 何の制限も不要”)

1998年に行われた核実験について

※「アームズ」(「兵器」)と「アーム आम عام」(「一般の、普通の」)がかけてある。後ろのは核実験後に起きた国際世論からの非難と包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名・批准をめぐる議論を踏まえて。


c0072728_23551611.jpg
Ishwar、Allah, Tero Naam、Sabko Sanmati de Bhagwan
 (“イーシュワル、アッラー、どちらも貴方の御名、善き心を与え給え神よ”)

1992年のバーブリー・マスジド破壊事件とその直後に国内でコミュナル暴動が頻発した状況に対して。

※上のはマハートマー・ガーンディー महात्मा गाँधी が歌った有名なバジャン भजन (宗教歌)の一節。「イーシュワル ईश्वर」はサンスクリット語起源の「神」を指す単語、「アッラー اللہ」はアラビア語起源のイスラームなどの一神教における「神」。宗教融和を訴えている内容。


c0072728_2355332.jpg
Don't spread rumours, Do spread goodness

1992年にムンバイー मुंबई で大規模に起きた市民暴動の時期に。

※実際に起きた事以上に、故意に人々を扇動するような噂によって事態が悪化、互いに対する報復の応酬によって暴動は拡大・深刻化していった。


c0072728_23554867.jpg
(無し)

2001年に起きたグジャラート गुजरात 大地震の直後に。


c0072728_23562058.jpg
Bas kare taiba
 (“もうたくさん、タイイバー”)

カシュミールでのテロ活動が激化し、それらの組織がインド各地でも事件を起こすようになった事に対して。

※11月7日にデリーで起きた連続爆破事件でも名前が挙がったテロ組織「ラシュカレ・タイイバー لشکر طیبہ」の名前の前半分と、「バス カレー बस करे」(「もうたくさん、やめて」)がかけてある。
[PR]
by ek-japani | 2005-12-01 01:31 | 考察


<< もうテレビで!? アドナーン人形!? >>