映画『Maine Gandhi Ko Nahin Mara』
昨日に引き続き、DVDで今度は『Maine Gandhi Ko Nahin Mara मैंने गाँधी को नहीं मारा 』を観た。


c0072728_18373332.jpgウッタム・チョウドリー उत्तम चौधरी はかつてボンベイ大学でヒンディー文学を教えていたが、退職して以降痴呆(最近では「認知症」と言うらしい)の症状が徐々に影を落としていく。また、トラウマとなっていた幼少期の記憶の影響により、自分がマハートマー・ガーンディーを殺害した容疑で監獄にいると思い込むようになる。

やはり主役のアヌパム・ケール अनुपम खेर (日本の有名人ブログのように、アヌパムおじさんのブログもあった!でもほとんど更新されてない・・・。)の演技は流石である。人生の老境に差し掛かったウッタムの内面における自己喪失への不安や恐怖をうまく表現していたと思う。なかでも、いつものように娘や息子と一緒に朝食を囲んで談笑しているシーンで、自分の母親がウッタム教授のファンだという事である女友達から頼まれた息子のため、過去に出版され有名になった著書にサインを書いてあげようとした矢先のことである。サインを送る相手の名前を一瞬前に教えられたにも関わらず思い出せず、突如暗澹と落ち込んでいくウッタムの心の変化がさり気無いながらも良く表現されてた。また、状態がさらに悪化してからのシーンでは、心理的なストレスが加わった時に今までしていなかった髪の毛弄りを突然やりだすのを見ていると、ウッタムの内面にドロドロと鬱積していく不安な思いが今にも自分の中へ流れ込んできそうな感じで、自分まで軽くドンヨ~リ不安な気分になってきた。

他方、周囲でウッタムの変化に振り回されながら暮らす家族の苦悩も描かれるが、なかでも献身的に付き添う娘のトゥリシャー तृषा (もし勘違いでなければ、「(喉の)渇き、渇望」みたいな意味の変な名前・・・。)を演じるウルミラー・マトーンドカル उर्मिला मतोंडकर もなかなかの演技である。あと、家政婦さんが喋ってたセリフがイマイチよくわからん感じだったが、あれはマラーティー混じりでムンバイヤー・ヒンディー風に喋ってるのだろうか・・・。


ウッタムの御気に入りという設定で、映画中ウッタムやトゥリシャーの口から何度も繰り返し言及される一篇の詩がある。その詩を以前誰かかから直接聞かされたか、どっかテレビとかで聴いたのか、はたまた単に雑誌とかで字面で見たのかすらも記憶がはっきりしないが、この映画よりもっと過去の時点にどこかで一回知ったような感覚が漠然としている。でも、やっぱ~り思い出せない~という釈然としない気分が少し続いている・・・。

まぁ物覚えが悪いのは今更なので、思い出せないのはしょうがないとして、とりあえずその詩の内容は以下の通り。

個人的には最後6行がとくに良い、自分の今の心境に深く響く。
(自分の粗雑な直訳の日本語を読むとそんなパッとしないが、原文の方は2節ごとに脚韻で揃ってて、音読するとなかなか躍動感がでてくる感じだ。)




 लहरों से डरकर नौका पार नहीं होती       波を恐れていては舟が向こう岸へ渡ることはない
 हिम्मत करने वालों की हार नहीं होती।                     諦めない者に負けはない

 नन्ही चींटी जब दाना लेकर चलती है,              小さな蟻が小さな餌の粒を運んでいく
 चढ़ती दीवारों पर सौ बार फिसलती है,       その時よじ登ろうとして壁から百回すべり落ちる
 मन का विश्वास रगों में साहस भरता है,            心の中の自信は体中に活力を漲らせる
 चढ़कर गिरना,गिरकर चढ़ना न अखरता है,  登っては落ち、落ちては再びよじ登ることを厭わない
 आखिर उसकी मेहनत बेकार नहीं होती,       そして遂には、蟻の努力が無駄になる事はない
 कोशिश करने वालों की हार नहीं होती।                 挑戦しつづける者に負けはない

 डुबकियां सिंधु में गोताखोर लगाता है,                     何回も海に潜水夫が潜る
 जा-जाकर खाली हाथ लौट आता है,                潜っていく度に収獲も無く戻ってくる
 मिलते न सहेज के मोती पानी में,     得られはしない、見つけやすく置かれた真珠を水の中で
 बहता दूना उत्साह इसी हैरानी में,         湧き出てくる、倍の情熱がまさにこの困惑の中で
 मुठ्ठी उसकी खाली हर बार नहीं होती,    潜水夫の握った手の平に毎回何も無いわけではない
 हिम्मत करने वालों की हार नहीं होती।                     諦めない者に負けはない

 असफलता एक चुनौती है स्वीकार करो,             失敗は一つの試練である、受け入れよ
 क्या कमी रह गयी,देखो और सुधार करो,      何の欠点が残っているのか、確かめよ、改善せよ
 जब तक न सफल हो नींद चैन को त्यागो तुम,     成功するまで眠りや平穏を捨て去るのだ 君よ
 संघर्षों का मैदान छोड़ मत भागो तुम,              戦いの場を離れ逃げ出すなかれ 君よ
 कुछ किये बिना ही जय-जयकार नहीं होती,        何もせぬまま万歳の声を挙げることはない
 हिम्मत करने वालों की हार नहीं होती।                     諦めない者に負けはない




ちなみに、この詩の作者は20世紀前半に活躍したヒンディー文学作家・詩人“ニラーラー निराला”(本名:スールヤカーント・トゥリパーティー सूर्यकांत त्रिपाठी )らしい。

「らしい」というのは、ウィキペディアではそう書かれているのだが、詩のデーヴァナーガリー表記をネット上で探してて今回見つけたブログ記事には「(作者だと聞いたので)手元のニラーラー著作集を開いてみたが、この詩は収録されてなかった」と書いてあるし、コメント欄にも別の人から「僕の知る限り、ハリヴァンシュラーイ・バッチャン हरिवंशराय बच्चन が作者だと思うよ」てな無責任なツッコミも入ってるし・・・、という訳なのである。

はたして作者はやはりニラーラーなんだろうか???


※4月7日追記:どうやらこの詩の作者はニラーラーではなく、ハリヴァンシュラーイ・バッチャンなようです。
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by ek-japani | 2006-04-04 07:15 | 映画


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