雑誌『NEUTRAL』 第7号
こんなインド特集の雑誌を買ってみました。

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NUETRAL - Travel for life
            n°7 May 2006

特集:インド永久保存―美しきインドのこころ
 


こういう雑誌の特集では、個別の記事で書かれてる内容はもちろんだけど、それと同じくらい取り上げられてるトピックの方向性や並び具合がなんか気になるところ。
最近のこういう雑誌特集の例に違わず、この雑誌でも今での「お決まり」のトピック(各地を遊行してまわるサードゥー साधु 、サールナートやボードガヤーなどの仏教遺跡、ヴァーラーナスィーのガート、ラージャスターンの豪華絢爛なマハーラージャーの宮殿など)だけでなく、アーユルヴェーダの美容エステ、バンガロールにあるIT企業インフォシスの近代的なオフィス(記事によれば日本人も20~30人ほど働いてるとのこと。思ってたよりもけっこー日本人の社員さんおるんですな。)なども紹介されていた。


なかでも、若手冒険家の石川直樹氏がマッディヤ・プラデーシュにある世界遺産、ビームべートカー भीमबेटका を紹介してる記事が新鮮な感じで興味深かった。その最後のほうで「人と動物が交換可能な野性が確かに存在しており、同じ大地に生きる動物たちは今よりもはるかに神聖な存在だったのだ。」([77]p.)という一文。人間の「心」の創生期と表裏一体の「芸術」の起源、またその起源の時代の作品である洞窟壁画を通して、人間の中に眠る「野性」について思いを巡らすという点がとても印象に残った。

ほかにも、「写真家が見たインド」というテーマで、それぞれが過去インドで撮影した写真を掲載している記事がある。中でもとりわけ『ロックンローラー“ミトゥー”』(撮影:富井昌弘氏、[86]p.)に何か衝撃を受けた・・・。具体的には、黄色のガンズ&ローゼスTシャツを着た長髪&サングラスのお兄さんがギター弾きながらシャウト!・・・のマネをしてる、という場面を収めた一枚なのだが、こういう濃~いキャラのインド人ってわりとあちこちで見かけそうで意外となかなか遭遇しないかもなー・・・と思った。

あと、(自分は今で知らなかったが)日本で以前ドラマなどに出演してたシューベルト綾という女優さんによる記事で、もう9年ほど家族と共に旅行で各地を回っており、とくにヴァーラーナスィーで1年以上河岸に付けたボートを借りて生活してた時のことなどについて書いてあった。旅の中で出産&子育て、小さな子供を連れて旅をさらに続行、というのは何か漠然と圧倒されてしまった。
ただ、旅のロマンに水を差すような俗っぽい疑問だが、この人たちってどうやって旅の資金をやりくりしてるの?という疑問が拭い去りえない。う~ん、かなり謎だ。そっちのほうが気になってしまい、いまひとつ話には共感できなかった。

綴じ込み別冊で付いてくる『ANOTHER NEUTRAL - India Edition [インド編]』の方は、旅行に持ってくのに丁度良いサイズで、内容もさっと開いて確認しやすいように見開きごとにコンパクトにまとめられた記事が載っている。
「インドのカルチャー案内」の記事で紹介されてる観光穴場スポットのなかでは、②“デリーのアンバワタ・コンプレックス”の高級ブティックでのショッピングや、⑥ハイダラーバード近郊の“ラモジ・フィルムシティ”での映画撮影所見学、などが何か目新しい感じだ。


昨年2月に出て話題になった『Casa Brutus』のインド特集の前後するあたりから顕著だが、ここ最近いろんな雑誌で「新たなインド」に注目した特集が組まれてるのを目にする。今回の雑誌もその一連の流れのなかに含まれるだろう。
こういう傾向を漠然と見ていると、依然として「インド」は多くの読者の興味を引く「売れるコンテンツ」なのを感じる、以前とまた切り口が少しづつ違ってきてはいるのだろうけど。



※最後に、(なんかケチつけるようで、これから書こうとしながら自分でもアレな気はするが)個人的に「おや?」と思う箇所がいくつか散見したので、メモとして残して置く。
まぁ、ここの文章を見てから書店に駆け込む人がおったら、雑誌は普通の書籍のように増刷の際に訂正とかできないので、この雑誌記事を読む時の参考にでもしてくだされ~(あ、あんま役にはたたんだろうけど・・・)。

○ 26p :ページ上半分の図表中の「シク教」の欄、「インド人で頭にターバンを巻いているのは、実はシク教徒だけである。」という部分。
 (「インド人=ターバン」なステレオタイプ的誤解を払拭する事を念頭に置いた説明とはいえ、そう言い切ってしまうのはどうかと思うが・・・。しかも「実は」なんて思わせぶりに・・・。一部の宗派や世俗的な人を除き「シク教徒=ターバンを巻いている」という図式はほぼ成立するだろうが、かといって逆に「ターバン巻いている人=シク教徒」というわけでは必ずしもない。)

○ 同26p :ページ下半分の1~2列目、「たとえばタージマハールは、インドで最も有名な建築かもしれないが、これはインド最大の宗教・ヒンドゥー教ではなくイスラム教の寺院である。」という部分。
 (タージマハル ताज महल は「寺院」ではなく、ムガル朝の王妃の「墓廟」である。また「モスク」と混同してるにせよ、厳密には「寺院」は適切ではないと思われる。「モスク」は「礼拝を行う場所」ではあるが、その場所自体に崇拝の対象が存在しているわけではないので。)

○ 39p :左上の写真、およびそのキャプション中の「写真はイスラム教徒の家族。インドではムスリムでもサリーを着る人が多い。」という部分。
 (たしかにベンガル地方などのように、地域によってはムサルマーンの女性でもサリーを日常的に着てるケースが多々ありえるだろう。ただ、該当する写真に写ってる家族のうち誰一人としてサリーを着ていないので、少し意味不明な記述だ。)

○ 53p :ページ右下のヒンディー語新聞の切り抜き記事、およびにそれに関する右横キャプション「その事がヴァラナシ地元新聞に取り上げられた。」の部分。
 (「その事」とは、前述のシューベルト綾氏と共に旅してる母親が、ヴァーラーナスィーに滞在中に「ガンガーセヴァー गंगा सेवा」というプロジェクトを立ち上げ、付近の子供たちの手も借りて毎日ガートのゴミ回収を実施した事を指している。しかしながら、少なくとも雑誌に付載されてる切抜き記事中には、その清掃活動に言及した記述は見当たらなかった。)

○ 67p :3列目の「アーユルヴェーダ医学によると人間の体は「ピッタ」「ヴェーダ」「カパ」という3つの要素で構成されているという。」の一文。
 (3つの要素、トリドーシャ त्रिदोष として挙げられてるうち2番目は誤り。正しくは「ピッタ पित्त」「ヴァータ वात」「カパ कफ」)

・・・加えて、記事中や別冊付録の地図における地名の表記についてはアレコレ言い出すときりがないのは百も承知だが、どうしても一つだけ。
「ジャイプール」(ジャイプル जयपुर)、「ジョドプール」(ジョードプル जोधपुर)ときて、何で「ウダイプル」(उदयपुर) なの?何でこの街だけは「ウダイプール」にならない?いかんせん不明、誰かに傾向と対策を教えて欲しい気分に陥る。(まぁ「ウダイプール」と書かれても納得はしないが、少なくとも気分的にはスッキリする。)
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by ek-japani | 2006-04-28 08:25 | 書籍


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