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by ek-japani
एक जापानी
ایک جاپانی
सत्यमेव जयते
こんな番組が来月6日からインドで始まるようですね。
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この「サッティヤメーヴ・ジャヤテー」、アーミル・カーンが初のテレビ司会を務めることで注目を集めているようですが、インド各地の人々のもとを訪れる旅トークが主な内容とのことと事前情報で思いきや、社会問題を掘り下げるスタジオ討論番組でした。家族揃って視聴できるようにと日曜昼11時台の放送枠に設定したそうで、夜のゴールデンアワーに放映されるのが通例のスター俳優司会番組としてはかなり異例のことのようです。

さらに異例なことに、スタープラス(メディア王ルパート・マードックのSTAR TV系列)と国営放送ドゥールダルシャンの両方で放送されるとのことで、これも年齢だけでなく地域や所得階層などの面でも幅広い視聴者をターゲットにしての試みのようですね。

ちなみに番組はメインのヒンディー語だけでなく、吹き替えで南インド諸言語などでも放送されるようです。


最近発表されたテーマ曲のビデオクリップが良いですね。番組コンセプトに合わせてアーミル・カーンとともにインド各地を巡るような作りになっています。(下のはヒンディー語版ですが、他にもそれぞれの歌部分がタミル、カンナダ、テルグ、マラヤーラムのが公開されてます。)


カシミールのダール湖舟乗りや雪景色、ケーララの水郷地帯のボート競争や(おそらくコーチンの)中国網曳き漁、ラージャスターンの色鮮やかな衣装、パンジャーブの芥子菜の花咲く穀倉地帯やホッケーの練習場、(シッキム?の)チベット仏教寺院などなど印象的な風景が登場します。

また、なにげない車や鉄道の車窓からの風景が良いですね。夕陽の沈みゆく草原もそうですが、乗客や荷物で過載荷重なジープにトラックにサイクル力車、重い荷物を背負って歩く物売り、道路わきの工事現場で土埃にまみれながら働く人々。ふと目に留まりつつ次の瞬間には過ぎ去るような、ありふれた光景ながらどこか心に奥深く印象に残るような、インドの大衆の姿を象徴的に捉えている気がします。

ちょっと気になったのが、チベット系の若者たちのロックバンド。マクロードガンジもしくはダージリンの撮影でしょうか、ボーカルのヘッドバンドが明らかに「フリーチベット」っぽいんですが・・・。メッセージ部分を後ろにずらして「…ET」だけギリギリ見えるようにしてるのも、何やら「Saadda Haq」の時と同じような雰囲気を感じます。
やっぱり現在のインドの(映画など娯楽産業も含めた広義の)メディア業界では、欧米流人権思想からのチベット独立擁護論+潜在的な対中ナショナリズムとが複雑に絡み合いながら、こういう政治的メッセージを織り込むのが一定の動きとしてあるのでしょうかね。



※5月8日追記:
初回の放送終了直後から反響がすごかったらしいですね。初回で取り上げたのは女児中絶。この社会問題について番組内容自体はとくに目新しい情報を提供してたわけではないのですが、むしろ「目新しくない」ほど根深い事象こそ立ち返って考えようという番組の基本方針に忠実なテーマ選定だった気がします。この盛り上がりがどれほど続くのか、またそれを地道な社会変革へどれほど結び付けることができるのか。これについては過去の例から冷やかな見解が多数のようですが、いずれにせよ人々の関心をひとまず高める段階については大成功を収めている気がします。

で、番組の反響はさておき、別のとこでは上の番組テーマ曲の盗作疑惑で盛り上がっているようです。問題となっているのは、インドのロックバンド、ユーフォリオの2000年発表アルバム「Phir Dhoom」に収録されている同名ので、コーラス「サッティヤメーヴ、サッティヤメーヴ、サッティヤメーヴジャヤテ~♪」部分がパクられているとのことですが、実際に聞いてみると訴えは妥当なところという感じですな・・・。ユーフォリオのボーカル、パラーシュ・セーンは、金銭賠償とかではなく原曲としての著作権表記さえすれば曲の使用を認めるとしているのに対し、疑惑の渦中にある番組テーマ曲の作曲者ラーム・サンパトのほうは現在のところ黙秘を貫いているようですが。
by ek-japani | 2012-04-22 18:31 | テレビ


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